当裁判の7回の公判のうち、2回も遅刻してしまった。まったく面目ないことである。ところで
刑事裁判(第一審)では、原則的に、被告人不在では公判が始められないことになっている。
それで思い出すのは澁澤龍彦である。サドの『悪徳の栄え』が、わいせつ文書頒布罪(刑法
175条)に問われたいわゆる「サド裁判」で、被告人の澁澤は毎回、遅刻していたらしい。一
度などは二日酔いで完全に公判をすっぽかし、家で布団をかぶって寝ていたそうである。(最
終意見陳述で、「欠席したのは胃痙攣のためで、これは病気の一種だから仕方がない、悪し
からず御了承を乞い願う次第である」などとぬけぬけと言い訳しているのが笑える。)裁判自
体は地裁で無罪、高裁・最高裁では逆転有罪となったが、第一審の全記録が『サド裁判(上・
下)』(現代思潮社)として公刊されている。この本がめっぽう面白い。
 何といっても、弁護側証人の顔ぶれがすごい。埴谷雄高、遠藤周作、大岡昇平、吉本隆明、
大江健三郎といった当時のそうそうたる文学者たちが、サドに関する文学論を繰り広げるの
である。私の裁判でも、誰か面白い人を弁護側証人として申請すればよかった、と悔やまれ
てならないところである。澁澤は、裁判に臨んで「勝敗は問題にせず、ひとつのお祭り騒ぎと
して、なるべく面白くやる」という方針を立てていたそうであるが、まさに私の心境とも一致して
いて含蓄深い。
 ちなみに澁澤は、最終的に罰金7万円の判決を言い渡され、「たった7万円、人をバカにし
てますよ。3年くらいは食うと思ってたんだ。7万円くらいだったら、何回だってまた出しますよ」
と憤慨していたそうである。これは奇しくも私の求刑と同額(!)であるが、まったく同じ心情で
ありながら、「たった7万円」と口にすることができない自分をふがいなく思うこの頃である。
 河内音頭ビラ貼り裁判
被告人エッセイ第2回・裁判に遅刻する(2/28)
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